「医師の同意」について
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「医師の同意」について

2021年08月10日(火)10:29 AM協同組合日本接骨師会, 受診妨害

  整復師は捻挫・打撲・挫傷などは医師の関与なしに施術できますが、骨折、脱臼は「医師の同意」が必要です。今回はこの「医師の同意」について改めて考えさせられる事案を紹介します。

 

概要

足部の骨折にて整形外科を受診3か月通院するも患者さんは経過に納得できず接骨院へ転医を希望。整復師より医師同意の必要を説明し医師に同意を求めるも「整復師」を理由に同意を拒否される。整復師は「地方医師会等の申し合わせ等により、医師が柔道整復師から、脱臼又は骨折の患者に施術するにつき同意を求められた場合、故なくこれを拒否することのないように指導すること。(医発627号 昭和31年7月11日)」の通知に反すると判断。(患者の自己決定権と「医師の同意」参照

前医からの同意が拒否されたが傷病の状態より当該整復師は接骨院での加療にて十分に治癒が見込めると判断。「整復師だから」というだけで整復師の業務の範囲を超えるなどの正当な理由ではない為、やむを得ない事由と判断し患者の希望に沿い3か月の加療、治癒に至り同意拒否の理由を記載のうえ保険者(国保)に療養費を請求するも保険者より「医師の同意がない」を理由に返戻(不支給)。その後も詳細な経緯や不当な同意拒否を説明するも再々々返戻となる。

その後、厚生局に事情を説明するも当初は原則「医師の同意が必要」としていたが保険者がやむを得ないと判断されれば問題はないとの回答を得る。

再び保険者に改めて「患者のための制度」「患者の医療選択の自由」の理解を求め、その後 受理され支給されました。

今回の事案には3か月経過後の骨折の後療や拘縮後療に前医以外の医師から同意を頂けるのかなどの問題もありますが、そもそも「医師の同意」とは何なのか。

現状、 整復師はⅩ線検査が出来ませんので医師に紹介しⅩ線やMRIなどの検査にて骨折の確認をして頂き、手術の適応が勧められる場合などには依頼するといったケースを除き患者さんが結果(レントゲン写真など)を整復師の下に持って帰ってくることが多いのではないでしょうか。勿論、手術適応でなくても医師の治療を患者が選択することは自由です。

現在、「同意を求められた場合、故なくこれを拒否することのないよう」との通知がありますが、故については詳細はありません。社会通念上、整復師の業務範囲外とかんがえますが今回の拒否理由にはそれがありません。患者の希望より理由のない(理由にならない)医師の同意拒否が優先された保険者の判断に対して、整復師の業務や患者の医療選択は医師が決定するものなのか。理由が何であれ兎にも角にも医師の判断、診断は絶対で整復師の判断は無視で「医師の同意」は医師から整復師や患者が恩賜のように戴くものなのか。(「医師診断優先の問題」参照)

現在、骨折などはⅩ線検査が行えない整復師医療において医師の協力が無くては患者さんに安心して頂ける医療の提供は困難です。本事案のようなケースは稀ではありますが、今後、国民の為のより良い医接連携が図られることを希望します。

 

参考に平成30年 衆議院議員 青山大人氏より提出された質問主意書を紹介します。青山議員には感謝を申し上げます。

 

 参考資料

 柔道整復師法第十七条の「医師の同意」に関する質問主意書



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