患者の自己決定権と「医師の同意」
患者の自己決定権と「医師の同意」
現在、成熟していく社会の中で、国民の最も重要な権利に幸福追求権(憲法第13条)があります。その考え方の中に、他人に強制せれることなく自分の考えで判断し選択できる権利、いわゆる自己決定権というものがあります。医療においても、患者さんの自己決定権は、最も重要なものとだと考えます。
「薬に頼りたくない。」「手技による治療がいい。」「近くがいい。」「待つのは嫌だ。」などいろいろな理由で接骨院を選択されている患者さんが多くいます。そして「骨折や脱臼も接骨院で治療できるならそうしたい。」と考える患者も沢山いるとおもいます。そうした患者さんを煩わせているのが「X線」と「医師の同意」問題です。患者に手間をかけているばかりか、禁忌症や手術が唯一という理由もなく、「接骨院に行くなら診ないよ。」とか、「同意は出来ない。」といった心の小さな医師もいるそうです。こうした医師は少ないと思いますが、患者さんの自己決定権を尊重するためにも協力をしいていただきたいと思います。そこで今回は少し古いものですが、「医師の同意」についての通知を載せましたので参考にしてください。
また、最近、患者の自己決定権の侵害が問題となっている医療訴訟が増えています。これらは、ほとんどがインフォームドコンセント(十分な説明を受けたうえでの同意)が不十分だったからだと考えられます。整復師もインフォームドコンセントをしっかりと行い、患者の権利を守らなければなりません。
日本接骨師会では、以前より「骨折、脱臼の治療を医師の同意から患者の同意へ」そして「Ⅹ線問題」その他、患者の自己決定権を尊重するための活動を行っていますので、ぜひ、業界の軌跡を参考にしてください。
参考資料 医発627号通知( 横書きに変換しています。)
医発627号
昭和31年7月11日
厚生省医務局長
厚生省保険局長
各都道府県知事 殿
○柔道整復師の施術について
標記の件に関しては、あんま師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法の運用並びに社会保険関係療養費請求の取扱いの面から従来から屢々通知しているところではあるが、今後特に左記の点につきご配意相成りたい。
記
1 地方医師会等の申し合わせ等により、医師が柔道整復師から、脱臼又は骨折の患者に施術するにつき同意を
求められた場合、故なくこれを拒否することのないように指導すること。
2 社会保険関係療養費の請求の場合には、実際に医師から施術につき同意を得たむねが施術録に記載してある
ことが認められれば、必ずしも医師の同意所の添附を要しないものであること。
3 応急手当の場合は、医師の同意は必要としないものであること。
4 柔道整復師が、施術につき同意を求める医師は、必ずしも、整形外科、外科等を標榜する医師に限らないも
のであること。
5 以上の諸点について留意するとともに従前から柔道整復師団体と、都道府県知事、健康保険組合等との料金
協定等を行っている都道府県については初版の行政運営について特に円滑に行われるよう指導すること。
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