任意中止後、一か月以内の別途新規傷病の初検料問題
任意中止後、一か月以内の別途新規傷病の初検料問題
今回紹介する事件は「初検料算定」の取り扱いについて保険者が、その理解ができず、自己の誤解を、権限をもって正当化し、さらにこの誤りを正すべき新潟県福祉保健部保険課が自己の判断を回避し、東京都福祉局社会保険指導部保険医療課に転嫁し、都がさらに本件の理解ができず、問題保険者の誤りを正さず放棄し、そして厚生省保険局医療課 に不十分な説明•照会を行い、厚生省がこれを基に誤った回答を行い、これが新潟県当局を通して「正当な初検料請求」であるにもかかわらず不支給とした事件です。
○事件の概要
治療の概要
①傷病
1)右手関節捻挫
(平成10年11月8日負傷、平成10年12月18日〜平 成10年12月19日、2回中止)
治療費合計2830円一部負担金3割 請求額1981円―支払い
2)左手関節捻挫
(平成11年1月11日負傷、平成11年1月12日1回 中止)
治療費合計2090円一部負担金3割 請求額1463円―不払い(初検料不可)
②保険者
東京都機缶健康保険組合
③A整復師所属団体
協同組合新潟保険接骨師会
○(協)新潟保険接骨師会の取り組み
(協)新潟保険接骨師会は、A整復師の意見が当然であることから、直ちに東京都機缶健保に正しい考え方について説明し理解を求めました。
保険者は、「何年か前に都柔整の会から一力月以内の初検料は請求できないと通知が来ている。」から不支給としました。初検料削除の請求を行ってもらいたいという事です 。(資料1)だが、これは承服できません。
そこで平成11年3月25日、新潟県柔整療養費審査会あてに「東京都機缶健康保険組合を御指導賜りたいこと」要望(資料2)を行いました。
ところが、新潟県福祉健康保険部保険課は要望の件が正しいのを分っていながら、保険者の誤りを注意しようとせず、保険者所在地が東京都にあることを理由に東京都当局 へ要望しろとしてきました。(資料3)
平成11年4月7日、(協)新潟保険接骨師会は、「東京 都福祉局社会保険指導部保険指導課」あてに要望を行いま した。(資料4)すると、平成11年4月16日、都当局より「厚生省(保険局医療課)に確認、したが『保険発第 57号(平成9年4月17日)の通り算定不可とされた。』ので算定できません。」と回答を受けました。
さらに、都当局の回答を受けて新潟県当局も今後は、当局としても厚生省回答によるので「不支給•不算定」扱いとする旨の話を受けました。こうした窮状を打開するために(協)日本接骨師会への相談となりました。
○当会(協同組合日本接骨師会)の考え
当会は、「任意で治療中止後の初検料算定に一力月程度を要する」旨は、もともとは医師の場合の算定とされ、整復師には該当しないものと考えています。その医師の場合でも「任意中止後の一力月程度」を要するものということについては、「同一傷病の場合」です。別途傷病の場合には一力月以内でも初検料算定を行います。
こうしたことを参考にすれば本件「別途、新規傷病」は 一力月以内でも算定可です。現に当会はこの取り扱いを行っています。(参考資料 療養費の支給基準)
○問題点
①保険者の誤り
「保険料」の規定の理解の誤りを注意されたのに、これを無視し、「社団法人団体の出所不明確な通知」を根拠に不支給を言い、自己のりを正当化する保険者の権利乱用問題です。
②新潟県当局の誤り
当局は、新潟県地域にあっては、従来から本件が支給され正しく行われていることを保険者に理解させ なければならないのに放棄し、さらに必要があれば 同じ行政として都当局へ理解の取り組みを行うべき だが、これも放棄し、なおかつ、厚生省当局が都当局から不十分な事件説明を受けて誤った回答を行ったことを受けたにもかかわらず、その誤りを正すどころか、反対に悪乗りして、今度は「算定不可」などとした誤り。
③東京都当局の誤り
当局の本問自体の不勉強の怠慢と、その怠慢に基づく厚生省への不十分な説明の無責任及び保険者の不勉強放置の誤り。
④4厚生省の不備・不適当
都当局の不備不十分な報告•説明の回答であれば誤解もあり得るが、しかし本件について、当会から要望を受けなければ、そのままになっていたことを考えたとき、本問自体に対するその資質•姿勢に疑問を抱かれます。
○事件解決の概要
①厚生省の回答
厚生省は、「平成11年5月28日柔整の算定基準の実施上の留意事項について」(資料5)として、任意中止後一力月以内といえども初検料算定が行える場合のある旨の回答を新潟県当局へ通知しました。
②新潟県の回答
厚生省から県当局あて回答「通知」が行われ、これを(協) 新潟保険接骨師会あてに連絡してきました。(資料6)
そして先に、不可とした誤りを可に改めた取り扱いをする旨の連絡がれました。
○(協)新潟保険接骨師会の意識と行動
同会の整復師業務と保険制度の正当性•適正性を考 え、その是非を求める姿勢こそ大事です。
会員A整復師と(協)新潟保険接骨師会の意識が既成団体整復師の程度を超えていたことも大事です。