医師の同意以前の骨折後療
医師同意以前の骨折後療
以前、骨折の応急手当ての件で、医師の同意を受ける迄は整復師受診は応急手当ての一回のみで、それ以外は認めないとした患者の都合を全く無視した保険の取扱いについて、当会より注意をした事案を掲載いたしました。そして今回は、医師が靱帯損傷(捻挫)としたものを整復師が骨折と診断し、骨折の処置・治療を行い、その後、数週間後に医師にて骨折と診断され、それまでの間の整復師の治療が骨折の後療として認められた事案です。医師の同意以前でも、骨折の治療を行っていた期間を骨折の後療として取り扱われたことも大事ですが、医師の診断やレントゲンの有無に係わらず、柔道整復師として知識、経験を活かし診断をしっかり行うことの重要性を再認識させられる事案でした。
当然のことですが、様々なトラブルを回避・解決するためにも、柔道整復師としての診断をしっかり行い、それを施術録(カルテ)に残すことの大切さを忘れてはいけません。
<概要>
H28年5月13日 患者Aさん 転倒し負傷
14日 病院を受診。レントゲン検査にて骨折は確認されず、靱帯損傷と診断され伸縮ベルトによる簡
易固定。
労災のため、会社提出用の診断書(靱帯損傷)を発行してもらい、自宅にて、安静と処方さ
れた湿布にて加療するも、痛みが激しく症状が軽減せず。 (資料1 診断書)
23日 S整骨院受診
受傷から10日を経過しているが、担当整復師の診察(問診、視診、触診等)により、腫脹、
内出血、圧痛などの状況から、骨折得有の症状が著明なため、患者に骨折の疑いを説明し、
副子による強固な固定に変更し、その後、通院治療。(約2週間)
6月8日 会社提出用の診断書を再提出のため、再度、病院を受診し、医師に「整復師より骨折の疑い」
を伝えるも再検査の必要性を否定。
患者が強く希望したためMRIでの再検査。 結果、骨折が判明し骨折の診断書をもらう。
9月、10月 整復師より骨折診断の理由を記載し初診から全て骨折にて算定し労災に請求。
その後、全額支給。 (資料2 請求書と支払通知書)