自衛官の整復師受診妨害、再発防止の取り組み
最近、生活保護や自賠責保険で医師受診を強要する問題があります。この業界正常化の軌跡で何度も扱っておりますが、柔道整復師の業務範囲においては、骨折・脱臼以外の施術に関しては、医師の同意を得ることや受診することは法令上必要はなく、医師受診を強要することは柔道整復医療に対する受診妨害となり、患者にとっては医療選択権を奪うことになります。
今回お伝えする事案は、2017年11月に発生した自衛官の柔道整復医療に対する受診妨害問題です。自衛官に対しての受診妨害問題は以前にも発生しており(平成15年と平成20年)その都度、受診妨害防止の周知徹底を防衛省に図っていただきました。しかしながら再度、受診妨害が発生したため防衛省より各部署へ再発防止の周知徹底を図っていただいた事案の紹介です。
<事案の概要>
平成29年
11/4 自衛隊相浦駐屯地(長崎県佐世保市)の隊員が来院し自衛官診療証を提示し柔道整復師を受診。
11/6 隊員より自衛隊相浦駐屯地医務室衛生課長に自衛官診療証にて整骨院を受診できるか尋ねたところ
「整骨院は不正が疑われる」「医療費不足」等を理由に医師の同意があれば保険にて掛かれるが
それ以外は全額自費負担にて受診するように言われる。
11/9 別の隊員(課長)より同衛生課長に確認してもらうも同じ内容の回答。
11 /17 本件、受診妨害を当会に文書で報告
当会事務局より平成20年6月9日に防衛省人事局衛生官付より、陸海空の全国の部隊に通達して頂いた
柔道整復師受診妨害防止の周知徹底の文書を送付。
→資料1 平成15年12月、平成20年4月 柔道整復師受診妨害防止の周知徹底の通達(日本接骨師会 会報309号抜粋)
11 /20 防衛省陸上幕僚監部衛生部 医務・保健班 衛生管理専門官(以下 陸幕衛生部専門官)より「相浦
駐屯地の衛生課長より話を聞きました。今後、自分より、全国の陸上自衛隊駐屯地に対し、受診妨害
防止の通達を出します。」との報告
11 /21 陸幕衛生部専門官に電話し、相浦駐屯地衛生課長より整復師を受診した隊員に「整骨院での医療証の
使用可能の旨を伝えてほしい」と依頼。
11 /24 相浦駐屯地衛生課長あてに整復師受診妨害防止の要望を送付
防衛省陸幕衛生部の専門官より、11 /22に相浦駐屯地衛生課長より受診妨害を受けた隊員に整骨院
受診可能の旨を確かに伝えましたとの報告があり。 同時に、当該整復師より、「受診妨害防止の
通達の周知徹底がどのように行われたのか」の報告を依頼。
12/15 防衛省陸幕衛生部の専門官より電話があり、全国の陸上自衛隊駐屯地医務室及び医療担当者に受診
妨害防止の通達を発出したとの報告あり。
平成30年
1 /11 防衛省陸幕衛生部の専門官より、全国の陸上自衛隊駐屯地医務室及び医療担当者に受診妨害防止の通達
を発出した通達の写しが届く。
→資料2 全国の陸上自衛隊駐屯地医務室及び医療担当者に受診妨害防止の通達を発出した通達
今回は、本事案に前例があったのことと、陸幕衛生部専門官の素早い対応のおかげでの早期解決となりました。