「腰椎骨折」の応急手当ての算定不可問題
今回は「腰椎骨折は通知により応急手当ても認めない」とした事案です。この正常化の軌跡でも何回も載せていますが、法律や通知は国民のための制度で、それによって患者が困ったり、迷惑をするという不利益が生じては本末転倒です。当会では整復師法第17条は時代遅れの法律で改正を求めて活動していますが、今回の件も時代おくれで、特に応急手当てについては重篤な症状程、固定等の処置が必要になる場合もあり、その都度、ケースバイケースで患者のために柔軟に対応すべきです。
<概要>
保険者 東京都後期高齢者医療広域連合保険(以下「後期高齢保険者」と言う。)
被保険者 東京都江戸川区在住
負傷原因 脚立に上り足を踏み外し落下。
負傷日 平成26年12月6日 初診日平成26年12月6日
治療終了 平成26年12月6日 実日数1 転帰•転医
平成28年1月4日当会々員より腰椎圧迫骨折の申請書作成について照会
腰椎骨折は算定基準に無く、不支給決定の可能性あり事前に保険者に理解を求め電話にて要望。
真竹:1月4日患者、江戸川区在住のため江戸川区役所、後期高齢保険者に電話し、療養費担当者に事案報告、以前、同様事案で関東甲信越東京事務所に、取り扱いについて照会と支払いの要望に対し担当者より、「療養費は保険者権限のため、保険者が理解し支払う分には問題無し」との回答を得て、保険者が理解し支払って頂いた事例を報告し、後期高齢保険者にも理解の要望。
担当者:初検の場合は、本来、医者に診てもらうべきもので算定は出来ないですね。
真竹:そうすると、タダと言うことですか。
担当者:そうですね。保険での対応は出来ない。初検でかかることはおかしいことで• • •
真竹:患者は骨折か分からなくて来る。痛みがあって。
担当者:腰部の圧迫骨折と分かった段階で、病院へ行かなければいけない。
真竹:応急処置をやって病院へ行かせた。応急処置をやってタダはないでしょう。 厚生省さんが良いと言えば良いですね。
担当者:いえ、国の方の通知で決められているのです。規定としてうたわれている。「脊椎骨折•胸骨骨折、単純ならざる骨折は算定出来ないとなっている、医師から後療を依頼された場合に限り算定出来るとなっているので支払い出来ない。
真竹:算定できないことへの疑問点
柔道整復師法17「柔道整復師は医師の同意を得た場合のほか、脱臼または骨折の患部に施術してはならない。ただし、応急手当てをする場合は、この限りではない。」この施術制限は、当時、整復師の取扱い範囲を超えるような場合があり得るので患者保護の目的の制限でつくられたもので、患者のための制度であり、今回の応急手当ても整復師として判断し、患者のため行ったもので、その内容も問題のあるものではない。
担当者:関東甲信越東京事務所に直接確認するので暫く待って欲しい。(連絡ないため午後 確認の電話入れる。)
関東甲信越東京事務所、そこだと答えてくれない。厚生省東京事務所は国保の管轄です。私どもは、東京都の福祉保険局の管轄です。福祉保険局に確認しましたが、国の通知で変えられない。規定通り算定出来ない。
真竹:それでは、管理、監督されている厚生省の保険局高齢者医療課に了解を得ることに問題ありますか。
担当者:そうなると東京都の方から、また、確認してもらうようになります。
真竹:私としては、飽くまでも患者さんの保険制度だと思う。応急処置をして医者に行きなさいと紹介している。保険制度は患者のものと思う。その様になっているけれども、厚生省さんに相談することは別に問題ないですね。
担当者:そうですね。
真竹:厚生労働省保険局高齢者医療指導調整官へ電話を入れ、前事例と共に事案報告。
調整官:それはおかしいですね。同じ判断すべきではないか。
このような方向に向きなさいとは言える。私に電話するように言って下さい。
担当者:同日、後期高齢保険担当者より、電話あり今回は支払いますので申請書備考欄に 担当者名を記入し了解済みと書いて提出して下さい。
真竹:厚労省指導調整官には、即、理解頂き調整官と高齢保険担当者に感謝とお礼を申し上げ解決いたしました。