「自賠責保険での幼児の施術は不可」とした問題
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「自賠責保険での幼児の施術は不可」とした問題

2020年12月26日(土)5:35 PM受診妨害, 自賠責保険

 これまでも自賠責保険において損保会社による医師受診強要問題を載せてきましたが、今回は柔道整復師の幼児への施術は認めないとする問題が発生しました。これは患者さんからすると保険を支払ってもらう保険会社には逆らいにくく、その優越的立場を利用して患者さんの希望する整復師受診を妨げる医療選択権の侵害で、整復師からすると受診妨害になります。特に今回のケースでは保険者が医師受診の根拠として取り上げる「東京地裁 平成14年2月22日判決(判例1791号81号)」の誤った解釈について、日本接骨師会では今までにも東京弁護士会をはじめ関係個所に正しい理解と再発防止の要望を行ってきましたが、この度また、この判例を利用した受診妨害が発生したため、その対応の経過を報告します。。

今回事案について判例の解釈という事柄、説明にはかなりの長文、文字量が必要となる為、このページではなるべく要点だけを短く伝えることに重点を置きましたので、かなり要約、意訳しての作成となりましたので、詳しくは日本接骨師会 会報第454号(令和2年12月号)をご覧ください。

 

概要・経過

 

令和元年10月

母親と幼児の親子が自賠責保険にて整形外科を受診

その後、母親が整骨院への転医を希望するも「母親は構わないが幼児の接骨院での施術は認められない。」との趣旨の説明を受け、仕方なく親と子で整形外科と接骨院の二か所を通院することとなり、担当整復師より保険会社へ連絡するも「当社では幼児の接骨院での施術は認めない。」の一点張り。

その後、担当整復師の所属団体が質問状送付し対応するも、代理人弁護士より東京地裁 平成14年2月22日判決(判例1791号81号)により「医師より具体的な指示がない。医師より症状管理されていない施術費は支払えない。」として、母親の施術費用も支払えないとの書面が担当整復師に届く。

 

参考資料

     「東京地裁 平成14年2月22日判決(判例1791号81号)」抜粋

 

負傷した被害者が病院又は診療所において受けた医師又は歯科医師(以下、歯科医師と合わせて「医師」と総称する。)による治療は、特段の事情の無い限り、その治療の必要があり、かつ、その治療内容が合理的で相当なものであると推定され、それゆえ、それに要した治療費は、加害者が当然に賠償すべき損害となるから、加害者がこれを争う場合には、加害者が積極的に具体的に個別具体的な主張立証をスなければならないと解すべきある。これに対し、被害者が自らの治療のために、あん摩マッサージ指圧師、きゅう師または柔道整復師(以下「あん摩マッサージ師等」という。)による施術を選択した場合には、その施術を行うことについて医師の具体的な指示があり、かつ、その施術対象となった負傷部位について医師による症状管理が成されている場合、すなわち、医師による治療の一環として行われた場合でない限り、当然には、その施術による費用を加害者の負担にすべき損害と解することはできないのであって、施術費用を損害として認めるには、被害者は①そのような施術を行うことが必要な身体状態であったのかどうか(施術の必要性)②施術の内容が合理的であるといえるかどうか(施術の合理性)③医師による治療ではなく施術を選択することが相当かどうか(施術の相当性。医師による治療を受けた場合と比較して、費用、期間、身体への負担等の観点で均衡を失っていないかどうか)④施術の具体的な効果がみられたかどうか(施術の有効性)、等について、個別具体的に積極的な主張、立証を行わなければならない。

 

本事案の要点

〇 今回の事案の傷病は柔道整復師の対象傷病で医師の同意や了解得なくてはならないものではない。

   (自賠責保険での医療選択権 参照)

〇 患者の医療選択権は国民の人格権(平成12年最高裁判決)でそれを認めないのは人権侵害である。 

〇 上記東京地裁判例は、整復師の不正保険取り扱いを巡る裁判で、整復師に不当失当があったかどうかという

  特段の理由があると考えられる場合の判例で、すべての整復師に当てはめるべきではない。今回、患者さん

  が幼児というだけでは特段の理由には該当しない

〇 ①~④は医師、整復師を問わず保険を取り扱うときの根拠であり、医師も整復師も疑義が発生すれば立証の

  義務がある。

 

 

所属団体より日本接骨師会に報告・相談があり今回の損保会社がこくみん共済にて監督官庁である厚生労働省社会援護局に「柔道整復医療受診妨害防止の周知徹底の要望」行い誤解と偏見への注意と再発防止を求めました。

 

令和2年8月6日 厚生労働省 別館

 厚生労働省社会援護局 

 福祉消費生活協同組合業務室  

            室長補佐

            生協第一係長

            主査

(協)日本接骨師会 

            会長

            副会長

            事務局2名

 

「柔道整復医療受診妨害防止」の周知徹底の要望 資料1 要望書

 

令和2年9月17日 厚生労働省社会援護局地域福祉課より回答 資料2 回答

 

令和2年9月18日 当会より厚生労働省社会援護局地域福祉課に理解と再発防止の取り組みへのお礼 資料3 お礼

 



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