第三者等の行為による傷病届
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第三者等の行為による傷病届

2016年03月10日(木)6:12 PM協同組合日本接骨師会

 

 

 今回の事案は、喧嘩で負傷し、病院では健康保険の使用を拒否され、全額自費負担と言われ困惑して、当会福島県会員の施術所を訪れて、柔道整復師より「保険者に第三者行為による傷病届をすれば健康保険での治療をすることが出来るのではないか?」というアドバイスを受け、実際に健康保険での治療ができるようになった事案の紹介です。

 

 

<事案の概要>

 

私のところに見えた患者さんの事ですが、喧嘩で眼球損傷と眼窩骨折をし、病院へ受診し、「喧嘩」で負傷したと言った所、病院では、喧嘩では健康保険は扱えない、全て自費になりますと言われ、驚き、相談を受けた件です。患者さんに、それは第三者行為加害届けを提出すれば健康保険扱いになるかもしれませんと説明をし、保険者に問い合わせをした方が良いとアドバイスをしたのですが、患者が問い合わせをした所、なんか難しい話をされて解からなかったと言われました。これは、最初から私が問い合わせをした方が良かったと反省をし、健康保険協会に問い合わせをしました。そうした所、協会けんぽからキチンと説明を受け、書類を患者さんの所に送って頂けると言われ、その際、先生の方から患者へ書き方の説明をして頂ければ幸いですと言われたので、快く承諾いたしました。

 その後、患者さんが書類を提出し健康保険扱いになりましたが、ところで何故病院はこのような制度が有るにも関わらず患者さんに説明をしないのか? 患者さん側に喧嘩と言う落ち度は有るが、地方の低所得者から無理強いに近いような高額な治療費を請求するのか? 疑問になりました。

 

 

 

<資料と解説>

 

交通事故等で保険証を使うときは届け出が必要です。

 ~「第三者等の行為による傷病届」について~    資料 1 

 

 交通事故やケンカなどの第三者の行為によりケガをした場合、本来は加害者が治療費等を支払います。(これを「損害賠償」といいます。)

 よって、健康保険証を使って治療を受けたり傷病手当金等の給付金を受けた場合、本来なら加害者が負担すべき医療費などを健康保険が立て替えたことになります。

 そのため「第三者等の行為による傷病届』を提出していただくことで、それに基づいて治療に要した医療費などを健康保険があなた様に代わって加害者に請求することになります。(これを「損害賠償請求権の代位取得」といいます。)

 なお、健康保険と同一の内容で加害者から損害賠償を受けた場合は、健康保険ではその限度内で保険給付を免除されることになっています。損害賠償が重複した場合は、健康保険からの給付金を返還していただく場合がありますのでご注意ください。

 また、通勤災害や業務上の事故による傷病は、健康保険の給付を受けることはできませんので、労災保険について事業所にご相談下さい。(全国健康保険協会 福島支部 レセプトグループ)

 

 

 

第三者行為による事務処理の流れ(全国健康保険協会HPより) 資料 2

 

 

 

(主な書類)

[第三者等の行為による傷病届]    資料 3

 

  加害者や事故の発生状況、治療状況などを把握するための書類になります。

 

 

[念書]

   全国健康保険協会が損害賠償請求権を代位取得することの明確化と今後の示談進捗状況の報告をお願いする書類です。

 

 

[損害賠償金納付確約書]

  相手方(加害者)が記入する書類です。

  事故状況によっては、相手方が記入を拒否される場合がありますが、その場合は理由を余白にご記入ください。

 

 

[同意書]

  全国健康保険協会が加害者へ損害賠償の請求をする際に、医療機関や診療日数を記載した保険給付内訳票を添付するため、ご本人の同意をお願いします。

 

  書類上は、単純に「被害者」「加害者」と区分けしています。状況によって逆転する場合もありますが、あくまで“健康保険証を使って受診した方=被害者”で作成していただくようお願いします。

 

 

 

<最後に>

第三者による傷病届では労働災害によるものであったり、犯罪行為によるもの、故意に起こした事故、飲酒運転や無免許運転など法令違反の事故での怪我でなければほとんどの場合、保険者に連絡をして頂ければ、了承を得られるものと考えます。該当する患者さんがみえたらなるべく早急に、その方の加入している保険者に連絡し相談して頂くようアドバイスして下さい。また、治療継続中に当事者だけで示談をしてしまいますと保険者は一時的に立て替えた治療費を加害者に請求することが出来なくなります。万が一、その後も治療を継続する場合は患者さん自身の負担となってしまいますので、治癒・中止・症状固定などになり示談をする場合にはこちらも保険者に連絡して相談して頂くよう患者さんへアドバイスしてあげて下さい。



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