明細書交付の義務化について
令和6年 日本接骨師会 第一回講習会報告
去る、令和6年10月13日 東京神田の全電通会館にて令和6年 日本接骨師会 第一回講習会開催されました。
講習会に先立ち羽原勉強会ではスポーツなどで転倒した際に多く発生する肩鎖関節脱臼についての講演がありました。今回も臨床の場で役に立つ様々な情報を実演、実習をしながらの勉強会でとても分かり易い内容でした。
また、講習会では保険請求についてや各地方での活動など幹事の先生方より様々な報告がありました。その中で今回は10月から変更となった「明細書発行義務化対象の拡大」について、会員の先生には事務局よりの資料を送付しましたが、まだよく理解できていない先生方もおられるのではないかということで東京都の多田憲一先生より「明細書交付の義務化について」の解かりやすい説明がありましたので参考にご紹介させていただきます。
明細書交付の義務化についての要点
明細書交付機能のあるレセプトコンピュータを使用している施術所 ⇒ 明細書交付義務化
対象施術所
•すべての患者に明細書を交付
•窓口は無償
発行体制加算として、10円/月を 申請書にて請求できる
•地方厚生局(支局)への届出は不要
※無償交付した全ての患者に対して 発行体制加算を算定する必要があり、—部の患者に限り算定しないという ことは出来ない
☆施術所内に“当院は明細書を無償交付する 施術所”の意味合いを持たせた文章を掲載
明細書交付義務化対象《外》施術所
•明細書を希望する患者に対して交付
•窓口で有償(受領に支障のない代金で) 発行体制加算はできない
•地方厚生局(支局)への届出が必要
※明細書交付義務化対象外施術所に関する 届出書(別紙様式3の1)
※明細書有償交付の実施に関する届出
☆施術所内に“当院は明細書を有償交付する 施術所”の意味合いを持たせた文章を掲載
解説
10月1日からの明細書無償交付義務化対象施術所の範囲拡大について
明細書無償交付義務化対象施術所とは
•今回の改定においてこれまで「常勤職員が3人以上」としてきた要件が撒廃され、明細書交付機能が付与されているレセプトコンピュータを設置している施術所においては、原則、窓口にて無償での明細書の交付が義務付けとなる
•明細書無償交付義務化対象外の施術所は、明細書を窓口にて有償で交付する旨を厚生局に届け出ることになります。(つまり、厚生局へ届出をしていない施術所は明細書の無償交付が義務付けられる)
「•義務」とは 人がそれぞれの立場に応じて当然しなければならない務め。「~を果たす」⇔権利
義務規定は、条文にて「〜しなければならない」「〜してはならない」と定められた項目 で、法的拘束力があり、違反した際は注意指導や勧告だけでなく、行政罰や刑事罰なの制裁を受けることもある
明細書発行体制加算とは
•届け出を行っている施術所以外の施術所において、全ての患者 に明細書を無償交付する場合、月1回に限り「明細書発行体制加算(10円)」 を加算することができる。 なお、全ての患者に対して明細書を無償交付しない施術所、例えば患者から求められた時のみに明細書を無償交付するなどの場合は明細書発行体制加算は認められません。原則、全員に無償交付。
施術所内への掲示について
•明細書無償交付義務化対象施術所は「明細書を無償で交付する」 旨の掲示を行うこと。
あらかじめ地方厚生(支)局に明細書を窓口にて有償で交付する旨の届け出を行っている施術所においては「明細書を有償(〇〇円)で交付する」又は「明細書を無償で交付する」 旨の掲示を行うこと
•今回の明細書交付の義務化対象施術所の拡大は、「施術内容の透明化」や「患者への情報提供を推進する」とともに、「業界の健全な発展を図る観点から設定されたもの」とあるが、果たして、その効果やいかに。
•今回の義務化対象施術所の拡大は、施術内容の透明化や患者への情報提供を推進するとともに、業界の健全な発展を図る観点から設定されたものである。無償交付を行う施術所においてにおいては、出来る限り患者に制度の主旨を理解いただいた上で明細書を交付する必要がある
所感
•明細書発行の対価について 従来は月1回13円でしたが、今回の改正では、月1回10円となりました。毎回交付しても、月に1回まとめて交付しても、1回10円/月という対価にも、改正の意義をあまり感じることができません普通、改正という とアップという先入観になりがちですが、今回はダウン提示です。理由として、対象範囲 を大幅に拡大することと、初検料の拡充等を踏まえたモノだとしていますが、果たしてこの改正は、我々にとって喜ばしいモノなのでしようか?甚だ疑問です。(当たり前ですが、手間暇かけて100名に毎回交付しても1,000円/月の収入です。参考までに、東京都の最低賃金は、10/1~時間額1,163円です)
本来、簡単な明細書なら無償で交付すべきと考えますが適正料金への要望(⇒参照)でお伝えした通り柔道整復師は元々低い料金のうえ、尚且つ昨今の物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性の影響を踏まえた医療費改定率(医科)の1/2(元々低い料金に対して更に低い改定率を掛ける格差料金制度)しか増えずスタッフもギリギリで経営している施術所が多い中、事務作業の増加や物価高騰にあたり交付に係る紙代、インク代、電力代などの経費を考えても月1回10円という報酬は、あまりにも馬鹿にしているとしか思えません。こんな子供騙しの加算ではなく、格差料金の是正に向けて算定基準自体の見直しを早急にすべきです。
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