保険者の調査・照会の乱用について
今回も保険者による調査・照会の事例です。保険者は「事実確認」として調査・照会等を行っていますが、患者さんからしてみれば気分の良いものではありません。それどころか、精神的に威圧感や不安を感じる方がほとんどではないでしょうか。そして、整復師に対して不信感を抱かれる方もいるでしょう。今回の事案も保険に関して詳しくない患者さんが保険者からの調査に対し焦って回答した感じを受けます。そして、その回答だけで、整復師への確認等もないまま返戻となり、その後、整復師からの異議があり、再調査にて支給となりました。このような保険者の一方的な調査や審査の方法自体が問題ですが、今回事案により、患者さんは、整復師に一回受診しただけなのにかなりの煩わしさを感じたのではないのでしょうか。このことが大きな問題です。逆に、保険者は調査・照会を利用して、患者さんに煩わしさを与え、その後の整復師受診を抑制するために行っているのではないかと感じています。
保険者は、調査権限を主張しますが、警察官でも職務質問をする際には、相当の理由がない限り行ってはならず、その権限を濫用すれば「人権侵害」となり、厳しく処分されます。こうしたことを保険者は理解し、受診妨害とならぬよう調査・照会に際しては慎重に行って頂くことを要望します。
Ⅿ健保組合返戻事案概要
平成30年2月20日 :「初診」頚部捻挫、背部打撲 実日数「1日」 転帰「中止」 にて請求する
平成30年6月22日 :Ⅿ健康保険組合より返戻があり、返戻理由は業務上(通勤途上を含む)の負傷とのこと
平成30年7月27日 :整復師より「再調査のお願いおよび質問書」を作成の上Ⅿ健保組合へ書留にて郵送
平成30年8月 3日 :Ⅿ健保組合より「ご質問に対する回答」 資料2
平成30年8月 7日 :Ⅿ健保組合業務課柔整担より電話にて交渉
・ 多部位でも頻回でもなく、どのような不正の疑いがあり、患者調査をしたのか。
・ 不要な照会ではないのか
・ 業務上の負傷とはどのようなものか
・ 照会の対象は何か
※上記の説明を求めたが、健保組合としては再調査もする気は ないとのことで平行線。
ならば職場から業務上の負傷であったのかの説明を求めようということで交渉決裂。
平成30年8月 9日 :登山会長、真竹保険部長厚労省に要望 「不適切な被保険者等への照会の連絡票」
資料3を提出してもらう
平成30年9月4日 :患者の職場に電話にて負傷の状況を確認したところ、業務上の負傷ではないと思うとのことで、その後の保険組合への対芯を一任した。
(協)日本接骨師会にⅯ健保組合より電話にて 業務上の負傷ではないことが確認できたので再提出依頼の連絡が入る。
平成30年9月10日 :「再請求についての質問」※資料4を作成し、 レセプトの再提出に添付の上、健保組合に提出する。
平成30年9月26日 :「再請求についてのご質問に対する回答」資料4
今回事案のような調査・照会乱用の再発防止を厚労省へ要望 資料5