米軍も認めた整復師診断~米軍施設労務者の傷病休暇「整復師医療認可」~
この問題の解決は至難であることは以下の紹介に見るとおりであるが、患者にとっては医療選択の自由を奪い、整復師にとっては整復師医療の適正性・正当性が問われる事案であることから当会の粘り強い取り組みとなりました。
事件概要
患者 K・T 男 42歳
米海軍佐世保基地勤務
頚部捻挫、 腰部捻挫
平成12年10月2日 交通事故負傷
整復師 N・T
平成12年10月12日N整骨院受診。仕事をしながらの治療で体調がおもわしくなく、「傷病休暇」として治療に専念したい旨、患者から申し出あり。
成12年10月19日、N • T整復師から平成12年10月20日〜平成12年11月9日までの安静加療を要す診断証明書を発行。
平成12年10月20日、患者が佐世保基地労働管理事務所へ診断証明書を提出し、傷病休暇を申請。だが、「医師の診断書」でなければ不可とされる。
「医師の診断書」でなければ不可という事は、労務契約に基づいて行っている。この中に 規定されている。
患者は、再度、整復師へ診断証明書の追加記載を希望。患者は、事故以前よりパニック症という事で総合病院精神神経外科(S • H医師)診療を受けていた。交通事故後にも受診しているが、パニック症とは関係ないので専門の先生に診療を受けるよう指示されていた。こうした事情の下で整復師の再作.成診断証明書を提出した。
だが、「傷病休暇診断書」が「医師の診断書」でなければ不可という協約はそのままです。
問題点
傷病治療は整復師の診療の受診を認めつつも(治療費支給)、「傷病休暇の対象」は整復師業務範囲傷病であっても「医師受診時は対象」とされ「整復師受診時は対象外」とされる
その理由は ①本件協約締結時に整復師は念頭になかった。
②「診断書」は医師のみで整復師については認めない=基本労務契約「7章 C節傷病休暇 7診断
書」→資料1
この結果、患者は医療選択にあたり、「傷病休暇対象の如何」は重大な条件となり整復師医療選択の妨害となる
※「傷病休暇」は健康保険の「傷病手当金」に相当する制度です。
この問題の解決の難しさ
この問題は日本の国内法問題ではなく、日米協定適用で、この協定規定の改正は国会や行政ではなく国家間の取り組みとされるため極めて特異なそして専門的な取り組みを要すもので一層の困難性があります。 地位協定に関する多くの懸案問題とその解決困難はマスコミでも指摘されています。この様な中で整復師医療欠落など一顧だにされなくてもやむを得ないとされます。
解決
当事案も当会会員受診患者によりこの疑問が発見され、当会の粘り強い交渉、要望を繰り返し、ようやく欠落の疑問や原因が理解され米軍施設労務者の労務契約三法(基本労務契約・諸機関労務契約・船員契約)の改正が行われ整復師医療が「傷病休暇」の対象とされました。協定の見直しには十年以上未解決問題も珍しくないとされる中、遂に、根本からの改正になり解決に至った次第です。
解決までの経過
1. 平成12年11月7日当会から防衛施設庁へ要望 →資料2
「労務者の人権の大事」と「整復師医療も対象となる」旨の規定改正要望。
2. 平成13年4月6日防衛施設庁から当会へ照会「問題理解困難」 →資料3
防衛施設庁が当会要望趣旨を理解してくれ、米軍との協議を行った際、前記のような疑義が提起されまし
た。そこで、それらに対して日本接骨師会は次のような回答(抜粋)を行いました。 →資料4
誤解原因旧社団法人日本柔道整復師時代の「整復師診断否定」の厚生省医務局長通 知の失当を翻転させた
参考の提出。
(昭和43年、園田直厚生大臣あて登山勲から理解 要望に対する昭和44年医事課長の社団法人新潟県柔道整
復師会への回答) →資料5
3. 平成13年6月1日、防衛施設庁より「再照会」 →資料6
照会理由のひとつに「傷病名適正表記の大事」が問題とされていることを知らされ、この取り組みの解説
です。
医療の本態の要件の傷病名の意味が問題となった事の大事です。休暇を要する傷病 や程度の注意で日米国
際間の用語(診断名)の相違をどの様に考えるかという事で、 これは、いま、わが国で整復師格差理由の
「医師都合問題」の取り組みとは次元を異にするもので感心です。
4. 平成13年8月3日防衛施設庁より「再々照会」 →資料7
先の照会と解説を受けて交渉し、改めて、「医療」と「傷病名」と「休暇」の物事の理解について「物事
の本質」と「対応」を巡る注意です。
5. 平成14年7月1日整復師受診者「傷病休暇可」規約改正 →資料8
「米軍の理解」です。平成12年11月7日以来の規約改正です。
防衛施設庁の理解と米国の理解の賜です。
6. 平成14年7月5日当会から防衛施設庁へ感謝 →資料9
解決まで、まさに「ウルサク要望」でしたが、この改正を賜り心より感謝とお礼を表した次第です。