医科の外用薬処方期間中の柔道整復師への転医不払い事件
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医科の外用薬処方期間中の柔道整復師への転医不払い事件

2023年05月27日(土)10:54 AM協同組合日本接骨師会, 受診妨害

 令和5年の定時総会後の講習会において複数の先生から重複診療に対する注意がありましたので、改めて紹介させていただきます。

「重複診療・ハシゴ診療と転医や同意のもとの協力との混同注意」(参照)でも掲載しましたが、重複診療とは同じ疾患や傷病で2か所以上の医療機関に掛かることで、特にハシゴ受診と呼ばれる2か所の医療機関を並行して受診することは医科どうしでも認められていません。こうしたハシゴ診療は患者さん自体が先生に話づらかったり、ハシゴ受診自体がいけないことと知らない患者さんもいます。また、中には並療の方が早く治ると思っている方もいるかも知れません。こうしたハシゴ診療の患者さんの請求書は保険者の突合審査にて発覚し返戻や不支給となります。そうしたことにならないように患者さんへの丁寧な説明を心掛けるようにしましょう。しかし、セカンドオピニオンや転医といった場合の2か所目以降の受診は患者さんの大事な権利です。医師に掛かっていても整復師の意見を聞いてみたいと思う患者さんや整復師の治療に変更したい患者さんがいても不思議ではありません。そうした患者さんに医科優先として医科から湿布等の処方がされている日数分は整復師の療養費を認めないとする保険者があります。医科どうしでも薬剤処方後にセカンドオピニオンや転医などはいくらでもあるのに、整復師は認めないとすることは、先ほども書きましたが患者さんの大事な権利を無視、侵害することになりますのでしっかりとした対応をとらなければなりません。その参考に本事件を報告いたします。

 

 

        医科の外用薬処方期間中の柔道整復師への転医不払い事件

概要

 

令和3年  7月   医師受診、足関節捻挫にて28日分の外用薬が処方される。

        その後、捻挫とわっかたため同日接骨院を受診、その後通院。

 

令和3年10月  保険者より「28日分の外用薬処方されているため、医療機関との併給となっていま           す。」との理由で返戻される。

 

令和3年12月  日本接骨師会より保険者に対して「転医」の説明をするも、湿布の処方せれてる期間

          は医師の管理下として整復師の療養費は認められない。

 

令和4年  5月   保険者より「不支給決定」

 

令和4年  6月  不当な処分として当該整復師より審査請求。

 

令和5年  3月   不支給決定の処分は妥当でなく取り消し。

 

                 審査請求決定書 抜粋

「薬剤の投与期間である場合の柔道整復師による療養費の支給を制限する規定は見当たらない。」

「当該被扶養者に対し行われた柔道整復施術が療養費の支給要件に該当していると認められるかどうかを総合的に判断する必要があった」

  として不支給決定は取り消されました。

 

※審査請求や再審査請求とは、請求書の返戻や減額査定等の判断に不服がある場合に再審査を申し立てることが出来ます。協会けんぽ・健康組合・共済組合・公費実施機関などは社会保険診療報酬支払基金に再審査請求、国保や後期高齢者は各自治体の審査会に審査請求の申し立てを行いますが請求できる期間が決まっていますので気を付けてください。

                  

令和5年  3月  保険者より入金

 

この問題は単に整復師に対する受診妨害というだけではなく、患者の医療選択権の侵害であり、医師受診時と同様、整復師受診に際しても転医やセカンドオピニオンは患者の権利であるということです。安易に湿布が出ているから医師の管理下だとして、一番尊重されるべき患者の意思を無視する保険者の対応に、意識の高い整復師が「患者さんの意思が優先されるべき」とのことからの取り組みでした。

 

 

 



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