自賠責保険の算定基準について
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自賠責保険の算定基準について

2022年08月29日(月)6:26 PM協同組合日本接骨師会, 自賠責保険

 

 自由診療とは健康保険を使わない診療で、こうした自由診療や診断書等の金額を医師会などで決定したり、料金設定の基準となるものを決定している場合にも独占禁止法に抵触するそうです。

 

交通事故の場合、通常は自賠責保険を使った自由診療ですが同様に原則、料金は決まっていません。(第三者行為の届け出をすれば健康保険での治療も可能)しかし、通常の自由診療とは違い事故被害者の場合、料金は受診者が支払うのではなく、多くは加害者が加入している損保会社が窓口となり手続きを行っているので損保会社とのトラブルが生じることがあります。

いくら自由診療とは言え当然、その治療内容に見合った料金で算定し、加害者や支払者に必要以上の負担を掛けないようにしなければなりません。自賠責保険では「必要かつ妥当な実費」という曖昧な基準のみなので、治療費の高額化が問題となり医師会では自動車保険料率算定会(現・損害保険料率算出機構)や日本損害保険協会の間で自賠責診療費算定基準を策定しました。おおよその内容は労災料金の1.2倍という料金基準で、交通事故は「交通災害」であり、災害医療を扱う労災保険の診療報酬基準に準拠するのが適切との判断からだそうです。しかし、医師会を含めた関係団体が示した算定基準ですがこれを強制すると前述のように独禁法に抵触する恐れがあり、それを採用するか否かは医療機関ごとの判断による、「手上げ方式」です。実際の請求額は労災料金2.0倍ぐらいまでの請求も多いと聞きます。

 

日本接骨師会では独自の自賠責算定基準を作り提示・提案させて頂いています。当然 会員の先生方に強制するものではありません。

当会の算定基準は労災算定基準にそのまま準拠するものではありません。なぜなら、不備、欠陥だらけの時代遅れな整復師の健康保険制度で患者や柔整師に負担を転嫁するような算定基準を元に作られた労災算定基準では災害医療、特に被害者を扱う算定基準とはなっておらず、それを保険会社が悪用し湿布代等は認めない、まして多部位や長期の逓減を強要するなど労災準拠からも外れています。こうしたことからも当会の自賠責算定基準は「必要かつ妥当な実費」そして、多部位・高額化してしまう自賠責保険請求への配慮を基に策定されています。当然、労災料金1.2倍の算定基準を大きく逸脱するものではなく、むしろ、多部位請求時の高額化抑制効果が期待できます。(日本接骨師会の自賠責保険請求方法 参照)

しかし、損保会社によっては労災料金約1.2倍の算定基準を当社基準として提示し、「これ以外の算定方法はみとめない。」とはなから強要してくる損保会社が未だにありますが、当然これは法律違反となる恐れがあります。

また、交通事故患者の整復師受診に際しては医師受診、医師診断書の提出を損保会社が強要し、それがないと保険の支払いができないと患者を脅すような事案も非常に多く発生しています。

この問題に関しては当会HPに掲載していますが、整復師が法律で認められている業務範囲内での医師受診強要は患者の医療選択権の自由の侵害、そして独禁法にも抵触するのではないでしょうか。

こうした整復師の差別的扱いを行う損保会社に対して当会では国土交通省や金融庁を通じ繰り返し注意、是正を要望しています。

 

 参考資料 金融庁・国土交通省へ要望

 

こうした当会の活動は柔道整復師の業務の正しい理解を求めるもので、無論、不正や濃厚過剰請求などをかばうものではありません。最後に、算定基準だけでは自賠責保険の高額請求化は避けられず、それを取り扱う者として正しく「必要かつ妥当な実費」を理解することが重要です。



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